「イザナミ」は、株式投資のバックテストに特化したツールです。プログラミング不要で複雑な売買ルールを組むことができ、簡単にバックテストを行なえます。
プログラミングが苦手という方でも、自分が考えた売買ルールの有用性を検証できる非常に便利なツールです。
「イザナミ」の販売元では、様々なユーザーがイザナミで使えるストラテジーを販売できるプラットフォームを提供しているようなので、インターネット上で「イザナミ」について調べると、これら販売ストラテジーに関する情報が多いかもしれませんが、本記事ではあくまで「イザナミ」という検証ツールの性能についてレビューしていきます。
A. 特徴
「イザナミ」は、自分で考えた売買ルールのバックテスト検証ができるツールになります。日足データによる売買ルールの検証が可能です。
https://www.izanami.jp/top.html
一番の特徴は、複数銘柄のバックテストができる点です。トレードステーションやTradingViewなどのツールは「ある1つの銘柄に対して売買ルールを適用した時、どのような成績になるか?」をバックテストできるものでしたが、この「イザナミ」というツールでは以下のようなことが可能です。
・ある売買ルールについて
・全銘柄(あるいは特定の銘柄グループ)で毎日エントリー/決済を繰り返した時に
・全体でどのような結果になるのか?
このような複数銘柄を対象としたバックテストが可能となっております。
また、売買ルールのテストだけでなく「資金管理のシミュレーションテスト」機能も搭載されています。例えば限られた資金でいかに効率良く運用するか?といったテストも可能です。
自動売買はできませんが、作成した売買ルールに基づく「本日発生しているエントリー/決済のサイン」が毎日確認できるので、翌日発注すべき銘柄をすぐに見つけることができます。
B. 主な機能紹介
(1) プログラミング不要の売買ルール作成
「イザナミ」は、プログラミング不要で売買ルールを作成できるため、プログラミングに詳しくない方でも気軽に利用できるのがポイントです。
売買ルールは「パレット」と呼ばれる独自の画面上で行なえます。「条件」「執行」といったパレットをマウスドラッグで並べていき、ダブルクリックで各パレットの設定を行なうことで、かなり複雑なロジックを組み立てられます。
たとえば、以下のような売買ルールもマウス操作と設定だけで簡単に作ることができます。
【売買ルールの例】
(1) 終値が移動平均線から-10%以上乖離した時、翌日寄付きにエントリー
(2) エントリー後、+5%上昇するか-5%下落したら、翌日寄付きに手仕舞い
(3) (2) に該当しなくても、エントリーから10日経過したら翌日寄付きに強制手仕舞い
また、エントリーや手仕舞いのルールだけでなく、「売買対象から除外する株価水準や出来高」など、日々検証対象とする銘柄の条件も指定できます。
例えば株価が数百円以下の時は取引しないようにして低位株を除外したり、直近数日の売買代金平均が一定以下の時は取引しないようにして流動性の高い銘柄のみを対象としたり、といった細かい設定も可能です。
また、前日のランキング情報や相関を元に日々の銘柄を選定するような機能も用意されています。
(2) 検証に役立つ様々な情報が自動でレポート表示
売買ルールの設定が終わって「検証」ボタンをクリックすると、自動でバックテストが始まります。条件が2~3種類の簡単な売買ルールであれば、10万円程度の安価なノートPCでも約20年分のデータでも1分掛からずでテスト完了しました。(PCスペックにより所要時間は異なります)
結果は対象銘柄すべてをまとめた結果となり、以下のような情報が自動的に計算されてレポート表示されます。
a. 概要レポート
バックテスト期間における、トレード回数・平均保有日数・勝率・期待値などの情報が表示されます。売買ルール全体の結果を確認しやすいです。
b. シグナル情報
日別に発生した売買ルールのサイン(エントリー/手仕舞い)が確認できます。日別の発生銘柄数が棒グラフ表示されているので、まとまってサイン発生した日なども分かりやすいです。グラフをクリックすれば、日ごとにサイン発生した銘柄も一覧で確認できます。
c. 取引一覧
1トレードごとの結果が表示されます。CSVエクスポートなども可能です。
d. その他集計
様々なグループ単位でのサマリー結果です。年次サマリー結果の他、「銘柄別」「市場別」「業種別」「保有期間別」などのサマリー結果も確認できます。
e. 収益率分布
トレード損益率ごとのヒストグラムが表示されます。
(3) 日々のサイン確認も簡単
「イザナミ」で作成&検証した売買ルールは、最新の株価データを取り込むことで、日々エントリー/手仕舞いのサインが出ている銘柄を簡単に確認できます。(株価データは毎日18時頃に当日の最新日足データを取り込めます)
売買ルールを作成してバックテストを実施すると、「最終日シグナル」というタブに本日時点で「エントリー/決済」のサインが発生している銘柄が表示されます。
イザナミから直接売買はできませんが、こちらに表示されたシグナルを元にお使いの証券会社から発注すると、作成した売買ルールと同じルールでの運用が可能です。
(4) 限られた資金での運用シミュレーションテストも可能
複数銘柄のバックテストで問題になってくるのは「1日にたくさんサインが発生した時にどうするか?」です。
単純なバックテストであれば、”資金が無限にある前提で”テストを行なえますが、実際には資金も限られていると思いますので、1日にサインが100銘柄も出た場合にすべてを取引することが出来なくなってしまい、売買ルール通りの運用が実現できません。
こうした点も考慮し、イザナミには「最適分散投資」というテスト機能が用意されています。これは、バックテストした結果を実際に指定の初期資金から運用したらどうなるか?をテストできます。
初期資金だけでなく、1日の最大投入額や1銘柄ごとの投入金額上限(下限)も指定することができ、より実運用に近いシミュレーションを行なえます。
しかしそれでも1日に多くのサインが出た時は、すべての銘柄を売買するだけの資金が足りない・・というケースが発生します。
この点も「イザナミ」では考慮されており、すべてを売買できない時に売買対象とする銘柄の優先条件をルールとして組み込むことが可能です。
たとえば「移動平均乖離率の大きいものから順に選んでいく」とか、「前日からの上昇率が大きい順に選んでいく」などです。ここの条件もかなりの数のパラメータから指定できます。
ここまでの機能を独自に作ろうと思うとかなり骨の折れる作業なので、バックテストツールとしてはかなり優秀だと感じております。
C. 料金体系とトライアル版について
(1) ライセンス購入による利用
「イザナミ」はライセンス購入型のツールで、月額支払いで利用できる「月額ライセンス」と、買い切りで無制限利用できる「無期限ライセンス」があります。
各料金は、執筆時点で以下の通りです。(料金は変更される可能性もあるので、お申込みの際は必ず公式ページの情報をご確認ください)
種別 | 初期費用 | 月額費用 |
---|---|---|
月額ライセンス | 12,980円 | 税込7,920円/月 |
無制限ライセンス | 165,000円 | (無し) |
(2) トライアル版の利用
また、「イザナミ」には7日間のトライアル版が用意されており、お試し利用が可能です。
「最適化分散投資」については、初期資金の設定ができないなどの制限がありますが、パレットを利用した売買ルールの作成や、日々のサインチェックは、正規版と同じように利用できます。
まずはこちらのトライアル版を申込み、操作感など確かめていただければと思います。
https://www.izanami.jp/trial.cgi
D. こんな人にオススメ
以上がイザナミの主な機能と料金体系になります。
これらを踏まえて、どういった方にオススメできるのかについて、ケース別にご紹介します。
(1) 複数銘柄のバックテストがしたい
イザナミの特徴は、何と言っても複数銘柄のバックテストが可能な点です。
トレステやTradingView、あるいはFXなどで利用されるMetaTradeなど、バックテストができるツールは多々ありますが、複数銘柄のバックテスト結果をサマリーで確認できるツールはなかなか無いと思います。
特に株式投資の分野では、銘柄を固定して売買したいというよりも、日々条件に合う銘柄をスクリーニングして売買したいと・・いうニーズの方が高いように思います。
イザナミの複数銘柄バックテストは、国内株式のトレードにおいて非常に有用な機能といえるでしょう。
(2) プログラミングは苦手だけと、バックテストはやってみたい
イザナミの売買ルール作成は、操作さえ分かれば非常に簡単でカスタマイズ性も高いです。
一度バックテストを実施した後、新しい条件を加えたり減らしたり・・といった事も簡単に行なえますので、プログラミングが苦手という方には特にオススメです。
(3) スイング~中長期で有用な売買ルールを探りたい
イザナミは日足データによりバックテストができるツールですので、売買ルールも数日から長期でポジション保有するようなものになってきます。
ですので、スイングトレードや中長期トレードを実践されている方で、有用な売買ルールを自分で探してみたい、という方にオススメです。
(4) 売買ルールを購入して試したい
こちらは本記事のテーマと少し外れますが、イザナミ販売会社では様々なユーザーが独自に作成した売買ルールを販売できるプラットフォームが用意されています。
これらの売買ルールを購入した上で、サインに基づく売買を行なう・・といった運用も可能です。(イザナミ販売会社が審査した「公認売買ルール」といったものもあるようです)
自分で売買ルールを作成するのは面倒だという方は、このような市販の売買ルールを使うという手もあると思います。
※売買ルールの購入については、開示されている情報を元に自己責任でお願いします
E. まとめ
以上、「イザナミ」の主な機能と料金体系についてご紹介しました。
株式投資のバックテスト検証に特化しているだけあって、かゆいところに手が届くツールになっております。
プログラミング不要で複雑なバックテストができますので、興味のある方はぜひ使ってみてください!
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